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齋藤 薫
写真提供:藤澤靖子
 もしも、今までの人生では"女としての自信"をあまりな持てかったという人がいたら、聞いてほしい。女には40代で大きな転換期がやってくる。言うまでもなく40代は衰えが形になる年齢、でもだからチャンスなのである。
 それまでずっと脇役だったのに、40代で初めてヒロインの座を射止め、それ以降ずっと主役でありつづけるという、大逆転を果たした人がいる。90代になるまで現役で舞台に上がりつづけた大女優"森光子"という人である。しかもその人は、60代70代80代と、歳を重ねるほどにその"若さ"が拍手を浴びるようになり、明らかに若い頃よりも美しくなっていく。
 もちろん主役という立場になれば注目度がまるで違うから、女としての"責任感"みたいなものが生まれたのに間違いない。でも、それを差し引いても40代では女のビジュアルにもいろんな意味で逆転が起きる。いかなる絶世の美女にも年齢は押し寄せるが、若い頃美しかった人ほど、そのギャップが大きくなりがち。もちろん“美しい人は、いくつになっても美しい”という考え方もあるが、ここで年齢を自覚し、気合いを入れ直さないと、美しい人ほどがくんと衰える、そう見えてしまうのが、美人のひとつの宿命なのだ。
 その代わり、今までいろんな意味で自信がなかった女性が、たとえばていねいなお手入れで肌をこつこつ磨いてきたら、それだけで"印象年齢"を年々遡るような逆転現象が起きてしまう。40代からは、若々しさが美しさ。肌だけでも逆転は可能だし、その積み重ねがたるみのない、やつれのない引きしまった顔だちをつくるから、"美しさ"でも逆転が起きるのだ。
 女の印象は、ずっと同じではない。年齢によって少しずつ変わる上に、自らの手でも変えられる。であるならば、30代から40代、あるいは40代から50代、女の印象がいちばん大きく変わる時に、自らの手でも"女としての印象"を美しく塗り替えてほしい。仮に今まで"美人"という自覚がなかった人も、自分は美しいのだという新しい自覚を持ってほしい。すると周囲にこう言われる。「あなた、いつまでもキレイね」。ひょっとしたら20代の頃は人に"キレイね"と言われたことがなかったかもしれない人が「キレイ」と言われ始める。そう言われるともっとどんどんキレイになる。それが40代という年齢なのである。
 じゃあ、"大逆転"をもたらす決め手は何かと言うなら、もっとも重要なのは"生き生き感"。生命感のきらめきと言ってもいいもの。ともかく人の印象はいつも、出会い頭の一瞬で決まる。「今日キレイ」「いつもキレイね」そして「いつまでもキレイね」と言われるためには、発光するような輝きがあること。それが一瞬で人を惹きつけ「キレイ」と言わせるチカラとなるのだ。肌を磨いて光をつくり、人に「キレイ」と言われること。それが大逆転のコツだって覚えていてほしい。

齋藤薫(さいとうかおる)
美容ジャーナリスト
女性誌編集者を経て美容ジャーナリスト/エッセイストへ。女性誌において、多数の連載エッセイを持つ他、美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍。新刊『人を幸せにする美人のつくり方』(講談社)他、『大人になるほど愛される女は、こう生きる』(講談社)、『The コンプレックス』(中央公論新社)、『なぜ、A型がいちばん美人なのか?』(マガジンハウス)など著書多数。
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