ゆかたを題材に25年余も作品を創り続けるなど当初は思ってもいませんでした。伝統に対する憧憬の心と、伝統は踏襲するだけではなく創造的なものであるべきと思う些細な挑戦の心が重なったことが発端でした。「創造は思い出すことから」と脳科学者のお話でうかがった時、「かぶくゆかた」と私の接点は必然的なものと何だか納得がいきました。歌舞伎・文楽・博物館・美術館に連れて行ってくれた幼年期から培われた伝統への憧憬と畏敬がなかったなら、ゆかたと出会ってもデザインする感興は湧かなかったと思うのです。
江戸を引き継いだ明治に御蔵入りさせてしまった大切な文化を伝統と云わねばならなくなってしまった事には、考えさせられます。その文化に出会うことも触れることもないのでは、習いも学びも出来ず、まして創造あっての伝統継承など出来よう筈はないと思うのです。 |
|
 |
|
|