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私の絵かきへの出発は23歳の時、中川一政の門を叩いた時に始まる。
「教わるということは人から餌を与えられることである」という師の言葉は弟子入りをして間もなく知ったのであるが、これで絵が上手くなり、絵かきになれるのだろうかといった不安は始めから全くなく、一政が関心を示すことすべてにこちらも興味を持ち続けた。
それは光を浴びて育つ植物の芽の如く、私は一政から注がれる光の中に自分の絵を描き続けた。当時の私は実に無垢で素直だった。
一政は私という芽がいつ発芽するのか黙って暖かく眺めてくださったのであろう。 |
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先日人生の大先輩の石川昭八氏にお目にかかった。
今年80歳というお年の余裕からか穏やかな品の良いお顔をなさり、趣味をゴルフだけにしぼってハンディー6とか、燕返しもどきの自己流ゴルフをする私など太刀打ち出来ない腕前である。
その石川氏に「生きるうえで大切なことは何ですか」と尋ねてみた。すると一言「小二郎さん、素直であることですよ」
思えば素直であったからこそあの頃の私は眩しい一政を一途に仰ぎ見ながら描くことに打ち込めたのだ。
しかし今はどうであろう。自然に対する素直さ、先人達が遺してくれた作品に感じ入る素直さ、こうした素直さを持ち続けていなければ、ひとに感動を与える仕事などできるものではない。 |
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プロフィール
小杉小二郎
洋画家。1944年東京生まれ。1970年渡仏、現在に至る。巴里を中心に国際的に活躍するほか、NHK等の出演も多数。
主な所蔵先:フランス文化庁、大分美術館、松本美術館等。著作、画集等多数。 |
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エルビュー社長冨宅孝子が日本の美をよりすぐって毎回ご紹介します。
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