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今年も6月に『松崎笙子かぶくゆかた』展を開催しました。「かぶく」に衝撃を受けてから20余年になり、発表し続けているうちに作品のゆかたは500点を優に超えました。
戦後まもなく歌舞伎が上演されるようになると、美しいものを見せたいと小学校を休ませて母は弟と私を連れて出かけました。美術館、博物館での鑑賞、自然探索もその例でした。そんな幼児体験は長じても益々増幅し、日本の美や伝統が気になる大人になっていました。
1975年から浴衣製造会社の商品企画・販促のデザインに関わった事が、伝統と今を深く考える機会になりました。伝統の継続・温存にのみ寄りかからずに、革新的で今に生きるものを新しく作ってこそ伝統が生き続くのではとの思いからの物創りが1983年から始まりました。反骨精神すら感じさせる「かぶく」という語を識ったのはそんな時でした。
「かぶく」は傾くと書き相当に不良性を含む言葉なのですが、あれ程厳しかったご法度で雁字搦めの江戸時代、その中を掻い潜って表現や行動の自由を獲得しようとした江戸人のエネルギーにまず感服してしまいます。そんな江戸人は場・時・人・心の接点を巧みに捉え、自由闊達に憎い程の遊び心溢れる洒脱な境地のデザインをしています。
「今」に生きるゆかたを!の想いと「かぶく」が同調して、物創りの精神を云い得て妙とばかりに、デザインコンセプトとなりました。
私は「かぶく」精神(こころ)を、過去を破る柔らかい、時と共に動く心で新しさを求めて物創りすること、嵌らないでキチッとキマル美学であることを解釈しています。その「かぶく」に衝き動かされて、ゆかたが非日常を楽しむハレ着となった今、伝統を意識下においてそのエスプリを「今」に行かせたらと分不相応な志と思いつつ創り続けています。
はずしてキマッテイル完成度に憧れているのだと思います。
 

プロフィール
松崎笙子(まつざき しょうこ)氏 
女子美術大学名誉教授、愛知県立芸術大学非常勤講師、グラフィックデザイナー
1975 エディトリアルデザイン・マーク・ログタイプのデザインなどを手掛けることと平行して、1975年からゆかたのデザインに手を染める
1983 初個展 松崎笙子のゆかた展(銀座H氏の画廊)
1985 今、「かぶく」ゆかた 松崎笙子展(京王プラザホテル)
1986 松崎笙子「かぶく」ゆかた(松屋銀座)以来毎年開催
2004 江戸の粋「かぶく」ゆかた 松崎笙子展(京王プラザホテル)
2007 松屋銀座での個展は22回目を迎えます
   
エルビュー社長冨宅孝子が日本の美をよりすぐって毎回ご紹介します。
先日、松崎先生の個展を拝見させていただきまして、歌舞伎で見る日本独特の色使いが素晴らしく、また大胆なデザインに新鮮さを感じ、大変感動致しました。
日本の文化、伝統を大切にされ真摯に追求されているお姿に感銘を受けております。
また、今月から美学コラム第2弾と致しまして「日本の美」をテーマに連載させていただくことになり、松崎先生にご協力いただきまして、先生の作品を掲載させていただくことになりました。「かぶくてぬぐい」と題して、てぬぐいに歌舞伎の演目を凝縮させ、エッセンスを表現されていらっしゃいます。第1回目は私の大好きな曲で名曲の娘道成寺です。エルビューのシンボルでもある桜があしらわれて粋で華やかさを感じます。1年間に渡ってご紹介させていただきます。歌舞伎の楽しさや季節感など、日本の美のすばらしさを感じていただけたら幸いでございます。
松崎笙子様と
 
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