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歌舞伎の家では、着物は仕事着と言えます。季節にあわせて着物の柄を選んだり、帯や小物との組合わせを考えたりと、洋服にはない、ひと味違った楽しさがあります。
私も娘時代から踊りを習っていたこともあり、着物には幼いころから親しんでいましたが、嫁いでからは義母に教えられることばかりでした。劇場で着る着物は、お客様をお迎えする立場上、派手にならず、かといって地味過ぎず、オリジナリティのある着こなしをするようにと教えられました。 |
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義母は、それはセンスの良い人で、地味目の着物を品良く着こなしていました。
更紗やインドのサリーで帯を仕立てたり、古代布で誂えた帯を縞物に合わせたり、自分でデザインした柄の着物を作ったりしていました。着物は、呉服屋さんが勧めてくださる反物から選んで作るものと思っていた私には、とても贅沢なことのように
思えましたが、生地から色、柄まで、注文どおりに作るので、無駄がなく、思いの他に経済的なのです。
春になると桜の着物を選びます。桜の時期は短くて、長くてもほんのひと月。
とても贅沢なものだと思います。それでも私は、少しでも長く着ていたいので、花びらだけのものも作っています。蕾がほころぶ頃から桜吹雪まで、春の名残を惜しむように
着ることができるからです。
季節を纏う楽しさは、着物ならではのもの。仕事着といえども、そこには日本人の心が流れているように思います。 |
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プロフィール
藤間紀子
松本幸四郎事務所社長。‘69年松本幸四郎(当時市川染五郎)と結婚。
一男二女の母。長男は七代目市川染五郎。長女は松本紀保、次女は松たか子。 |
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エルビュー社長冨宅孝子が日本の美をよりすぐって毎回ご紹介します。
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