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齋藤 薫
写真提供:藤澤靖子
 毎年、一人、新しい友達を作るの……そう言っていた人がいる。友達ってそうやって計画的に作るもの? もっと自然な形で、気がついたらできているものではないの? そう思っていたけれど、年齢を重ねるほどに、何かその意味がわかるようになった。  人は、年齢と共に知らず知らずガードが固くなり、簡単には心を開けなくなって、単純に友達ができにくくなる。でもその一方で、「人生の財産のひとつは、人。自分の理解者がどれだけいるか、単純に好きな人がどれだけいるかで、人生の重みが違う」ということに気づき始める。もちろん疎遠になる人もいて、いつの間にか財産は減っていくことにも気づくから。当然のように何だかとても心もとなくなる。まさしく、"人は財産"なのだ。

 だからこそ、意識して自ら友達を作りに行くような気持ちを持とうということ。それを"年に一人"と決めるのは、強い意識の現れに過ぎず、そのぐらいの"つもり"でいてちょうど良いという話なのだろう。実際、一生モノの友達が一人増えるたびに、人生において重要な人が一人増えるたびに、自分の人生が充実する。心が安定し、何だか体があったまる感じがするはずなのだ。
 とは言えもちろん、大人になるほど、人は人に対して臆病になる。言うまでもなく
人づき合いの難しさを知るほどに、マイナス因子を自分の人生に入れたくないと言う思いが強くなるから。でもそれは裏を返せば、自分にとって相性の良い出会いをきちんと見分ける力もついてきていると言うこと。そういう意味での直感も、年齢と共に鋭く研ぎ澄まされていく。だから新しい出会いを面倒がってはいけないのだと思う。
 ちなみに、これを肌に置き換えてみると、分かりやすいかもしれない。肌のゆらぎは年齢と共に角質層のバリアが減っていくことによって、環境の変化を受けやすくなるのが原因。肌のバリアが脆弱になると、当然のことながら肌は敏感になり、トラブルを起こしやすくなる。だからこそ、しっかりしたバリアを育てることが大切なのだけれども、幸い正しい肌のバリアは、肌にとって悪影響をもたらすものはちゃんと跳ね返し、肌にとって必要なものはちゃんと取り込む。それこそ自分にとって、"良いものと悪いもの"をちゃんと見分けて取り込むべきものは正しく取り込むことができるわけで、心のバリアにも、そういう能力が必要なのだと思う。
 大丈夫。肌のバリアも日々のお手入れを正しく丁寧に重ねていけば、自ずと高い能力をもったバリアが出来上がっていくように心のバリアも同様、これまで人との関わりを誠意を持って重ねてきた人は、いつの間にか心にも優れたバリアが十分に出来上がっている。
 人にとってバリアとは、自分自身を守りつつも、外界との関わりを正しく導くためのフィルター。生きていく上でとても大切な一枚だということ。また、安定した若さ美しさと、充実した人生、どちらも優れたバリアがもたらしてくれること、今こそ知っていて欲しいのだ。
齋藤薫(さいとうかおる)
美容ジャーナリスト/エッセイスト
女性誌編集者を経て独立。女性誌において、 多数の連載エッセイを持つ他、美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザー、NPO法人日本ホリスティックビューティ協会理事など幅広く活躍。『Yahoo!ニュース「個人」』でコラムを掲載中。著書『されど“服”で人生は変わる』(講談社)が新書で登場。『The コンプレックス 幸せもキレイも欲しい21人の女』(中公文庫)、『人を幸せにする美人のつくり方』(講談社)他多数。

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