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 扇子の歴史は平安時代の宮中に遡ります。
 記録用の木簡を束ねたものが起源といわれ、やがて檜の薄板に絵を描いた檜扇が生まれたといわれています。そして紙の普及とともに竹の骨に紙を貼った蝙蝠へと発展し、貴族社会の必需品となりました。
 こうして京都で生まれた扇子は、鎌倉時代に僧侶などによって中国に伝えられ、ヨーロッパにまで広がります。そこで独自の発展をとげ羽根扇やレースを編み込んだ洋扇子も誕生し、パリなどでは上流階級のコミュニケーションの道具として流行しました。
 その後さまざまな形に発展した扇子は、再度、日本に伝わり貴族や神職だけのものだった扇子が庶民の間へ広がりました。
 扇子は神事や祭りで使われるほか、能楽、歌舞伎、舞踊などの芸能や、茶道、香道など様々な文化のなかでも重要な役割を持ちます。演劇や舞踊では役者の小道具として舞台に華を添え、茶道で使う茶席扇子は自らを謙遜し相手を敬うこと表現します。
 また夏には涼をとり、香りも楽しむ道具でもあり、その扇面には持ち運びできる絵画を添えることができる等様々な用途、役割、意味を持つ道具です。
 扇子自体がもつ扇子のつくりや扇面の絵による美しさ、雅やかさはもちろんあります。
しかしそれだけではなく、女性の装いに華やかさを添え、さらにしぐさの美、表情の美を表現し、時には心まで表すことばの代わりにも使われた「扇」を持つことでアクセサリーとしての美しさというだけでなく、その人の所作をも含めたトータルの美しさを引き出すことができるのではないでしょうか。
 平安時代から現在まで扇子の歴史は続いています。千年以上にわたり継続しているアイテムは他に多くはないと思います。この千年以上の間、材料など環境の変化、幾多の難を乗り越え、時代の変化に順応してきたからこそ、現代にも残るものとしてあり続けていると思います。
 近年でもさまざま製造環境の変化や、材料の問題等これから扇子文化を継承していくにあたり問題は多々ありますが、今に始まったことではないと思いますので、これからも伝統を受け継ぎ守ることだけでなく、新しいことにチャレンジすることで技術や品質の向上を図りながら扇子をつくり続けていきたいと考えております。
宮脇賣扇庵
文政6年美濃国出身の初代が、京都の扇屋の近江屋新兵衛の株を買い受けて創業。三代目新兵衛が交流のあった富岡鉄斎により賣扇桜という京の銘木にちなんで賣扇庵という屋号を名付けられる。創業より扇子を自社で製造販売し、工芸品としての飾り扇を考案するなどしてきた。店頭にはあらゆる種類の扇子が取り揃えられ、中でも明治35年に作られた京都画壇48名によって描かれた天井画を見ることができる。
https://www.baisenan.com
1976年(昭和51年)生まれ。五代目宮脇新兵衛の孫。京都扇子団扇商工協同組合理事。大学卒業後、母方の実家である同社に入社し京扇子の製造、販売に携わり、文化継承に努めている。
代表 冨宅のメッセージ
先代の代表、宮脇様の頃からご縁をいただいております。この度も、歌舞伎座で行われた今藤会に出演するにあたり、まきものとして素敵な扇子を作っていただきました。宮脇賣扇庵様の品のある美しい扇子に伝統文化の粋さを感じております。
 
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