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職人たちの協働により
最高のものを追求


 私の家は、仏像・仏具作りを家業として代々受け継いできました。父も祖父も京仏師です。自分は男ばかりの三兄弟のまん中ですが、高校生の夏休みに祖父が使っていた彫刻刀を一人に一本ずつ与えられ、それがこの世界に入るきっかけとなりました。結局、兄は文字を彫る篆刻、弟は仏具作りの道を選びましたが、兄弟全員が仏様に関わる仕事をしています。
 各分野に専門の職人がいて、最高のものを追求するのが京都の文化。仏像も、仏師が一人で作り上げるものではありません。漆を塗ったり、金箔を施したり、彩色したりといった後工程もあり、それぞれのプロが自身の領域で熟練の技を駆使する。そこが、アーティストとの違いと言えます。
仏師の心得は、我を消すこと、
そして木と話すこと


 もう一つ、アーティストの違いは、作品に「我」を入れないことです。仏像を作るにあたっては、ご住職の考え、そして檀家様の意見をうかがうこともあります。出来上がる仏像は仏師のものではなく、お寺、地域、さらに日本、世界のものでなくてはいけません。だから、自分の我は消して仏像を彫っていきます。
 また、木と話をすることも大切です。私はこれと思った木をまず買います。その時点で「このくらい大きさの、こういう仏様が出来る」というイメージが湧いてきます。すると不思議なもので、その通りの仏像の依頼があるのです。あとは彫っていくだけです。デッサンなどはしません。「余計なものを取っていく」という感覚です。
 「国宝にしたい」という方もいらっしゃいますが、造形が素晴らしいだけではなれません。千年以上その姿を残したものが国宝になるのです。それは並大抵の努力ではできず、仏師だけでなく関わったすべての人の強い想いが必要です。そこで、皆様にも仏像作りに関わっていただき、苦労をわかち合い、胎内には一人ひとりのお名前を入れます。それは「ご先祖様が作った」という印であることから子孫の方々に大切にしていただけ、長い歳月にわたって守られる仏像となります。
普通の家庭で育った子を
職人に変える


 仏師になりたい人はたくさんいます。ただし、学校を卒業して「就職」という感覚でこの世界に入ると三年も持ちません。京仏師は今も徒弟制度です。一日の仕事が何時に終わるかもわかりません。さすがに住み込みというのは時代的に合わないので、私は工房の隣りにある学生マンションの部屋を借りて弟子たちに住んでもらっています。それでも、一つ屋根の下で暮らすことにはなります。だから、最初に「あなたは職人になりますか?」と尋ね、そういう生活に納得してくれる人だけを弟子にします。
 私には「ただの彫師を作ってはいけない」という信念があり、自分がやるべきは「普通の家庭で育った子を職人に変える」ことと考えています。その想いに共感して飛び込んでくれた子は伸びます。これからも、本物の職人を作ることに努めたいと思っています。
代表 冨宅のメッセージ
 数年前に両親の位牌を納める仏壇を冨田さんに作っていただきました。高貴で温かみのあるとても美しいものです。 あらためてお話を伺って、思いのこもったこだわりと精神性の深さに、仏像作りの素晴らしさを実感致しました。
 
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