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堀越希実子様 第一回〜涼しさを演出する夏の装い〜

堀越 希実子/ほりこし きみこ 
東京生まれ。学習院大学仏文学科卒業、1976年に当代團十郎丈(当時海老蔵)と結婚。江戸歌舞伎を代表する名門市川宗家の妻として、母として、多忙な日々を送る。着物と触れ合う日常のなかで磨かれたセンスを生かして、京都の着物メーカーで成田屋由縁の着物ブランド「茶屋ごろも」のデザイン・監修を手がける。



ブロンズ色の帯が印象的な、シックな装いの堀越様。
「着物は、真夏以外いつでも着られるものを中心に
探すようにしています。
この万筋(まんすじ)の着物は名古屋帯で
も染め帯でも合うので、カジュアルなシーンから、
お歳暮のご挨拶に伺うときになどにも重宝しますね」。

四季で最も自然が豊かな季節
色彩と情景を楽しむ装いを


冨宅 11月から1月は、たくさんの方にお会いする機会がありますが、この時期の着物にはどのようなものがありますでしょうか。

堀越 四季のなかでも自然が豊かな季節ですから、着物のおしゃれが一段と楽しくなる季節ですね。たとえば、流水にもみじ散らし、落ち葉の吹き寄せ模様など、秋を代表する文様も実に様々。菊や萩、桔梗、おみなえしなどの秋草模様もよく使われているように、秋冬の色彩美と情景美は、着物のモチーフとして古くから好まれてきました。ただし、季節の草花模様の場合は、花の盛りのシーズンより少し早めに身につけるという決まり事もございます。

冨宅 季節を先取りするというのも着物の楽しさのひとつですね。四季の豊かさは日本の美しさの象徴でもありますし、好きなモチーフの着物があるとまたその季節を待つ楽しみもできますね。

堀越 お洋服とは違った着物ならではの楽しみ方ですね。また、着物には洋服のような流行がないので、祖母や母の着物を代々受け継いでいけるというのも、大きな魅力だと思います。

冨宅 寒くなると、羽織ものやコートも必要になってまいりますが、選ぶ際のコツなどはありますでしょうか。

堀越 12月くらいまでなら、羽織を着てその上にストールをあしらっても素敵ですね。私の場合、羽織の代わりに十徳を着ることも多いです。羽織ですと室内では脱ぐのがマナーですが、十徳は、ふいのお客様にご挨拶するときでも失礼にならないという利点があります。

冨宅 十徳とは、よくお茶人さんがお茶を点てるときにお召しになっているものですね。着物のコーディネートがまた一段と楽しみになってまいりました。

帯で変化をつけるのが
堀越様流センス
研ぎすますのは、着る習慣


冨宅 いよいよお正月となりますと、装いも一気に華やぐような気がいたしますね。

堀越 松竹梅、宝づくしなどの吉祥文様、正倉院御物と、日本にはおめでたいモチーフがたくさんありますので、楽しめる季節かと思います。

冨宅 こうして拝見しておりますと、堀越様の着物はどれもシックなのにとても華やか。上手に着物を揃える秘訣をぜひお聞かせください。

堀越 私の場合は、とにかく着物を着る機会が多いので、通年着られそうな柄、もしくは柄のない着物を選んで帯で変化をつけるようにしております。1枚の着物に対して、3パターンほどの帯があれば、大抵のシーンに対応いたしますね。

冨宅 帯を変えるだけで、フォーマルにもカジュアルにもなるのですね。

堀越 また、着物はトータルコーディネートで楽しむものですから、リーズナブルに揃えるということも、実はとても大切なことなんですね。

冨宅 おっしゃる通りですね。だからこそ、堀越様のような審美眼を持つことも大切。センスを磨くためには着る機会を増やしてこそですね。

堀越 本当に。日本人であるからには、やはり着物を着なくてはいけませんね。

冨宅 こうしてお話しを伺っておりますと、ますます着物に関心が湧いてまいります。本日はどうもありがとうございました。



冨宅孝子/エルビュー株式会社 代表取締役社長



取材日:2013年9月25日
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