齋藤薫のビューティスタイル

vol.39

2022夏

街で、視線を釘付けにして離さない人のは、光を放つ人



街で目を引く人って、どんな人だろう。不思議なことに、単なる「派手」は、あまり目を引かない。いや、存在はアピールするものの、視線が釘付けになることはない。とりわけ服装の派手に、吸い寄せられることはないはずなのだ。

そういう意味で、まさに視線が吸い寄せられるのは、光。遠目にも光を放っているような人に、私たちは目を奪われるのだ。そして、その光の正体が、美しい素肌から放たれるものであれば尚さら、視線は釘付けになるのだろう。言い換えれば、上から乗せた光ではない、内側から発光するような肌そのものが生む光は、不思議に遠くからでも人目をとらえて離さない、そういう特別な力を持つということなのだ。

以前こんなことがあった。ある大きなレセプションで、 遠くに1人だけスポットライトを浴びているように、ポッと明るく輝いている人がいて、まさにその光が目に飛び込んできた。ともかく1人だけ輝きを纏っていて、ちょっと不思議に思ったくらい。さすがに一体何者だろうと、気になって、近づいていったら、ある有名な女優……。深く納得するとともに、やはり“オーラ”ってあるのだと改めて気付かされた。

オーラは、ある意味“霊的なもの”と捉えられがちだけれど、やはりそれは格別に美しい肌から生まれるものなのだと改めて気づかされた。ただ表面だけを艶めかせるメイクの技ならば、そんな遠くから人を引きつけたりはしない。あくまでその人自身が放つ光だから人を引き寄せたのだ。

女優さんだから、と言うよりは肌のくすみをいつも丁寧に取り去っているからこそ生まれる光。肌の構造が美しく整っているからこそ生まれる光。そして、心身ともに健康である証としての光。その証拠に、その人は髪もツヤツヤだった。ツヤ出しスプレーで作った艶ではない。本物のツヤ。

ちなみに、髪にツヤがあると肌も元気に見えるという研究結果があり、その人は肌も髪も輝いているからこそ、さらにその相乗効果で存在がより確かな光を放っていたのだろう。

年齢を重ねても重ねても、保ち続けることができるもの、それが肌の光であり髪の光。あるいは、50代代60代でも、70代だって、20代に負けないくらいの輝きを放つことは可能、ハリでは負けても、光では負けない、そういう若さ美しさなら、誰にでも目指せるはずなのだ。

じゃあ肌や髪に光があることが、なぜそんな尊いことなのか。なぜ街で視線を釘付けにするのか。それは光を放つことは、豊かで美しい人生を丁寧に営んでいることの証に他ならないからなのだ。もっと言えば本当に幸せな人生を生きている証。だから、目を離せなくなるのは光そのものではなく、その人自身への深い関心が生まれるから。ほんの一瞬でもリスペクトが生まれるからなのだ。

一体どんな人なのだろう……そこまで思わせてこそ、人目を引く意味がある。あの人、輝いているね、それは最高の褒め言葉なのである。