齋藤薫のビューティスタイル

vol.36

2021夏

あなたは今週、何回泣いただろうか?
心の震えが美しさを作る涙美容の話



ズバリあなたは、今週何回泣いただろうか? そういえば久しく泣いていないと言う人も、きっと少なくないはずだ。ひょっとしたら、心が動きにくくなっているせいではないか?そういう疑いを持って、今こそ自分の心と向き合って欲しいのだ。

既にコロナ禍に入って1年半、新しい生活習慣には少しずつ慣れてきたものの、慣れれば慣れるほど、逆に際立ってくるのが日常生活が平坦すぎること。外出の回数も減り、当然のことながら会食の回数も減ったはず。観劇やコンサートなども、再開されたとしても、何かわざわざ出かけるエネルギーが湧かないと言う声をよく耳にする。

なんとなくでもこの平坦な生活に、体が慣れてしまっているからではないか。いや心までが、わざわざ感動を得たいと言う意欲を減退させてしまっているからではないだろうか。人間は良くも悪くも環境にすぐ慣れる。
動かないことに身も心も慣れていたとしたら残念なこと。

以前からマスク生活が笑顔の数を減らし、表情を乏しくしていると言う指摘はあったけれど、笑顔と同じくらい実は大切なのが、心を震わして泣くことではないかと思う。泣くことそれ自体が人を美しくするとでもいいほどの、大切な働きを担っているからなのだ。

それこそ人間の体は本当によくできている。涙の意味によって働きが違うことにも驚かされるばかり。同じように見える涙にも、じつは3種類あって、まず悔し涙や怒りの涙のようなネガティブな涙は、塩辛くて、粘っこいのが特徴。これは交感神経が優位となり、ナトリウムや塩素などの電解質の量が多くなり、水分量の割合が少なくなる分だけ粘度が高くなるのだ。一方、うれし涙と悲しい時の涙は副交感神経が優位になっているので、サラサラしていてしょっぱくない。温かくて甘いと感じることもあるはずだ。

ただどちらにしても、感情がもたらす涙はストレス物質を溶け込ませて体外に排出するので、おそらく泣いた後は身も心もスッキリすっきりしているはず。ストレスが明らかに軽減している証なのだ。

そしてもう一つ、感動の涙は、情動性の涙してまた分けて考えられる。しかもこの涙は驚くべきことに、脳が反応し血流が増えることによって出る涙だと言われる。血液そのものではないが赤血球が含まれない涙だから、無色透明であると言う考え方。もちろんここにも、ストレス物質が含まれるから、文字通り、感動はストレスを消し去る最大の手段なのである。

さてどうだろう。感情がもたらす涙をあなたはきちんと流しているだろうか。喜怒哀楽いずれから出る涙でもいい。もっともっと心を動かして、感情の涙を流してほしいのだ。そして、感情が乱れることなどない、心穏やかな生活をしている人は、ぜひとも映画や観劇コンサートで自ら感動の中に自分を連れて行って欲しい。無表情でいるのと同様、心の表情もいたずらに人を衰えさせる。もうしばらく続くコロナ生活における、大切な美容である。