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このコラムも残すところあと3回となったところで、あらためて考えたいのが美を追求することの価値について。誰もが本能的に美の価値には気づいているはずですが、それを追求することの意味を深く考えている人は、少ないのではないでしょうか。

歴史的に見ると、中世までは人の意識も行動も、すべてを神――つまり宗教が支配していました。当時は「不思議なこと」はなんでも神の業として捉えていたから、文明の発展も比較的ゆるやかだったといえます。けれどその後、フランスの哲学者デカルトが信仰より理性による真理の追求を説き、「物は科学で心は宗教で」という区分ができてくるのです。これが近代の幕開けで、およそ400年前のこと。その後科学は飛躍的に発展し、物質的な豊かさの追求が加速度的に進んできました。そしてその延長にあるのが現代。経済的な利益を求め、資本主義がグローバルに推し進められてきた結果、確かに物質的には繁栄の時代を迎えました。でも地球上にある「物」は有限であり、資源はいずれ枯渇します。今は一見、平和で豊かな時代のようだけれど、実は破綻に向かって突き進んでいるともいえるのです。

では物に代わる価値をどこに求めるべきかといえば、それが心。今では物と心は分けて考えられないのでは? ということが、科学的にも認識されつつあります。宇宙物理学のホーキンス博士もしばしば神について言及しているし、(量子物理学の世界では、物の最小単位である量子が、実は人の心の影響を受けていることもわかってきました。)さらに医学的に見て心と身体が密接な関係にあることは、誰もが知るところです。しかも心は無限ですから、心の豊かさの追求へとシフトすることが、これから何よりも重要になるといえます。

そして人の心のエネルギーとなるものは感動であり、感動を呼び覚ますものこそが「美」。だから心の豊かさの追求とは、つまり美の追求にほかなりません。ひとりひとりが自分の心と向き合い、それぞれの価値観に基づいて美のあり方を探す。その集積が、これから求められる新たな美意識を構築するのだと思います。




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