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今まで美学コラムの中で述べてきましたように、美の本質は、感動であるといえますが、人は、実に様々なことに感動します。
ただ 人の人生が、「生きてやがて死を迎える」ということからして、その内容も生にかかわる感動と死にかかわる感動の2種類に大きくは、分けることができるでしょう。すなわち「生きるよろこび」ともいうべき美と、死を前提にした「もののあわれ」というような美に分けることができようかと思います。
前者は「生きることは自体は楽しいものだ。生を満喫し充実させ、悔いのない人生を送ろう」といった「生の高揚」を基本とするもの。後者は「人間はいつか死ぬもの。だから淡々と生き、自分の生をかみしめて、優雅に生きていこう」という、いわば「枯淡の風雅」「わび、さびの世界」といえるものです。「思いきり人生を楽しもう」と「静かに生を味わおう」との違いといっても良いでしょう。
花にたとえるならば、燃えるような紅色のバラと、淡い色彩でそしてすぐに散ってゆく桜の花。豪華絢爛なフランスの宮殿とコケがむす中にひっそりとたたずむ質素な茶室...。おわかりいただけるように、日本の美の特色、それは正に後者の「枯淡の風雅」に大きな比重がかけられていることにあるといえるのではないでしょうか。西洋の美意識と日本の美意識では随分と違いがあるように思われます。
ところで人が何をもって価値判断の基準とするかということについて、いわゆる真・善・美をいうことが言われます。その中でもその国の文化との違いを大きく形成する要素となるのは、美であるということも言えましょう。この美意識の違いがどう文化や芸術等について影響を及ぼしてゆくのか、こういう観点で「日本の美」ということをテーマにお話をさせていただきたいと思います。
 
手拭いに歌舞伎のエッセンスが凝縮したい想いで手拭いを創っています。この大きさの布に、一つの芝居の世界をどれだけ盛り込めるかと意気込みは大きいのですが、得体の知れない大きな魅力と、底知れない深い美学ある歌舞伎の前では表現しようと思うことすら烏滸がましい所業で、芝居好きのたわごとの域は、とうてい越えられるものではありません。
「歌舞伎でコンデンス てぬぐいのこと 松崎笙子」より抜粋

今月の作品
<道成寺>松崎笙子先生
舞台一面の桜、白拍子花子の衣装も桜です。気高く粛々とした桜、ぱあっと華やかな桜、妖艶な婀娜っぽい桜、恨みの心の桜と、女の一生の絵巻です。
ジャパニーズスピリッツ「かぶくとゆかた」松崎笙子先生のご紹介はこちら
 
 
   
 
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